FATBOY SLIM / PRAISE YOU

ショッピングセンターでダンスグループ「トーランス・コミュニティ・ダンス・グループ」がラジカセで「PRAISE YOU」をかけながら珍妙なダンスを披露中。しかし無許可で行っているらしく、係の人が再三注意にやってくる。そしてついに強制的にラジカセの音を止められてしまった。はたしてダンスは続けられるのか?


映像は素人が隠し撮りしたような感じでとてもプロの作品とは思えません。「トーランス〜」のダンスもお世辞にもかっこいいとは言えず、ファッションもダサダサ。しかし最後までダンスを止めない彼等の行動は感動的ですらあります。


ここからは知らなくてもいい事ですが、実はダンスグループの主催者リチャードは監督であるスパイク本人が演じています。つまり「トーランス〜」とは架空のダンスグループであり、存在しません。しかしそういった経緯を視聴者は知ってか知らずか、このPVは大反響になり、99年のVMAではBEST DIRECTION、BEST CHOREOGRAPHY、BREAKTHROUGH VIDEOの三冠を達成しました。


そしてそのVMAのステージでは、大観衆の前で実際にFATBOY SLIMと共演してダンスを披露しています。このパフォーマンスへ至るまでの道のり(振り付けでもめたり、NYでオーディションを行ったり)をドキュメンタリーとして記録した作品が「TORRANCE RISES」です。日本では2003年11月のresfest2003の特別プログラム「SPIKE JONZE RARITIES」で初上映されました。ここでもスパイクは終始「リチャードとして」行動している訳ですが、ここまでくると、このグループが架空の存在であるという事実自体どうでもよくなります。「ウソからでたマコト」「ヒョウタンからコマ」。この作品は、ドキュメンタリーとして十分面白いのですが、会場で「こんな奴等に賞を取られるのかよ…」と明らかに嫌悪感丸出しのエミネムやマドンナらの表情や、ダンナ(当時)の悪ノリを「しょーがないわねー」といった顔で客席から見つめるソフィア・コッポラなどももちろん楽しめます。


この「TORRANCE RISES」は近日発売予定のDVD「SPIKE JONZE BEST SELECTION」に収録予定です。PVと併せてお楽しみ下さい。


監督:SPIKE JONZE監督ファイル003
音楽:FATBOY SLIM
タイトル:PRAISE YOU
DVD:「SPIKE JONZE BEST SELECTION」(amazon.co.jp)(DVDファイル010
視聴サイト:sputnik7.comblastro.comastralwerks.com
関連サイト:Fatboy Slim official