PV監督映画特集

今回はもうすぐ公開予定の映画で、いわゆるPV監督出身のものをまとめてみました。


その1
スパン / ジョナス・アカーランド監督(監督ファイル008

作るPVが過激すぎて次々に放送禁止になってしまうジョナス・アカーランド。初の監督作品「スパン」(オフィシャル)は、スマパン「TRY,TRY,TRY」(作品ファイル008)でも扱っていたドラッグに溺れる若者を描いた作品(not 社会派)。映画秘宝にインタビューが載っていたので一部抜粋。

僕のビデオはアメリカでは放送禁止になることが多いけど、わざと過激に作って世間を挑発しようとしてるわけじゃないよ。プロモ・ビデオは僕の映画じゃなくて、クライアントに依頼されて作ってるんだから、放送禁止になるのはマズいんだよ。僕は正直言って、どこまでやると放送禁止になるのかわからないんだ。というのも僕が育ったスウェーデンでは映像に規制がまったくないからね。テレビで平気で裸や血まみれシーンを放送している。でも犯罪はない。アメリカでは逆に犯罪は多いけど、テレビや映画の規制が激しい。ま、退屈で何も起こらない国だからかえって暴力的なものに憧れているのかもしれない。



面白過ぎる。ちなみに本人はドラッグ経験はないそうです。「SMACK MY BITCH UP」(作品ファイル099)とかも撮ってんのに。「スパン」には他にも見所が色々あって、「完全復活?」のミッキー・ロークや、ドクター役のビリー・コーガン以外にもデボラ・ハリー、ジューダス・プリーストロブ・ハルフォード(監督はスウェーデン時代、北欧メタルのバンドをやっていた)らが出演しています。しかも監督のPVが気に入ったという理由で俳優全員ノーギャラらしい!「ラスベガスをぶっ飛ばせ」をぶっ飛ばすくらいのドラッグムービーになれるか?


その2
トルク / ジョセフ・カーン監督(監督ファイル018

ブリトニー・スピアーズ「TOXIC」(LINK)でもゴージャスバカセンス爆発のジョセフ・カーン。これまでにも名作PVを次々にしかも大量にドロップしていた彼の初監督作品は「トルク」(オフィシャル)(米オフィシャル)。バイカー達の抗争を描いたというすごくありがちな映画(プロデューサーは「ワイルドスピード」と同じ人)で、スチル写真みるだけでも笑えてくる見事なバカ映画(らしい)。以前PV作った事のあるアイス・キューブも出演。町山さんが監督にインタビューした時の日記(LINK)より抜粋。

「トルク」はバカ映画?と聞くと、
「バカ映画だよ!観てる人は自分が利口になったみたいに感じて気分いいだろ」と笑っていた。
いちばん好きな映画は「アキラ」だそうで、彼にとってこの映画は「アキラ」の実写版のつもりだそうだ。



町山さんに言わせると監督は、「クンフーと特撮とゲームが好きなデブでメガネの韓国系ボンクラ青年」だそうです。いいなぁ。高感度アップ。


その3
エターナル・サンシャイン(仮題) / ミシェル・ゴンドリー監督(監督ファイル002

1作目の「ヒューマン・ネイチャー」は個人的には「地味な佳作」という印象でしたが、2作目にあたる「エターナル・サンシャイン(仮題)」(米オフィシャル)はジム・キャリーが主演という位の情報しか無かったのでフーンって感じでした。しかしeiga.comの小西未来さんのコラム(LINK)を読むと、かなり期待できそうなんで俄然楽しみになってきました。前作ではあえて使わなかったミシェル・ゴンドリーの十八番の特殊映像も炸裂か?


その他

テキサス・チェーンソー」(オフィシャル)の監督マーカス・ニスベル(オフィシャル)及び製作のマイケル・ベイ(「アルマゲドン」他)(mvdbase.com)や「ドーン・オブ・ザ・デッド」(オフィシャル)の監督ザック・シュナイダー(mvdbase.com)などもPV監督出身ですね。「テキサス・チェーンソー」は評価はあまり高くないようですけど、私は好きでした。レザーフェイス最高。「ドーン・オブ・ザ・デッド」は評判良さそうなんで楽しみにしてます。ゾンビ最高。


そもそもPV出身の監督はあまりいい印象を持たれていないのが実情で、ファビュラス・バーカー・ボーイズ「映画欠席裁判」(amazon.co.jp)では、マイケル・ベイ監督が「ザ・ロック」のアクションシーンで何が起きているか分からないから編集し直せと映画会社に命じられても、「リカバー・ショット」(つながらない時のための保険映像)を撮っていなかったので、できなかった。なぜならPVには各カットが論理的に繋がらなくてもOKだから。と、解説していました。ちなみに「テキサス・チェーンソー」のパンフによると、マイケル・ベイが新人監督であるマーカス・ニスベルにアドバイスしたのは「可能な限り順撮りにしろ」だったらしい。これってやっぱ編集でうまくいかなくなるという自分の苦い経験から学んだことなんでしょうね。


その他のPV監督出身については、セックスと嘘とビデオクリップさん(LINK)に「MV監督映画作品リスト」というデータベースがあります。すげー便利。